【EC】AIが変える購入体験
みなさんこんにちは。アートトレーディングの藤井です。
前回は、Editionsの新機能から3つだけ選ぶ、という話をしました。今日は、その背景で起きていることを。
さて、本日は、AIからの送客について。この1年で、話がだいぶ変わりました。
それでは行ってみましょう。
「AIで買う人が増えるって言われても、まだ先の話ですよね」
まず、この1年を並べてみます
順番に並べると、何が変わったのかが見えてきます。
2025年9月、OpenAIがChatGPTの中で買えるInstant Checkoutを発表しました。公式には「加盟店は完了した購入に少額の手数料を払う」と書かれています。金額の記載はありません。
2026年1月、GoogleがUCPという共通仕様を発表。Shopifyやウォルマートなどと共同開発したもので、20社以上が支持を表明しました。小売事業者が売り手のままであること、今後数か月でグローバルに広げることが明記されています。
同じ1月、報道が出ます。Shopify加盟店はChatGPT経由の売上にOpenAIへ4%を払うことになる、と。ここまでが「新しい入口にも場所代がかかる」という話でした。
ところが3月、OpenAIがChatGPTの中での決済から手を引きます。同じ3月、ShopifyがAgentic Storefrontsを全面展開。ChatGPTは決済の場ではなく、送客の場になりました。

手数料の話は、消えました
いまの公式表記を確認しました。
Google AI ModeとGemini、Microsoft Copilot、Meta。この3つの直接チェックアウトについて、公式ヘルプにはいずれも同じ一文が書かれています。手数料はかからない、通常の決済処理手数料だけです、と。
ChatGPTについても、Shopifyの発表に「標準の決済処理手数料を超える取引手数料はない」とあります。
つまり、1月に報じられた4%は、もう現在の話ではありません。半年で構造が変わりました。
ただし、ひとつ正確に書いておきます。いつまで無料なのかは、どこにも書かれていません。 今のところ無料である、という以上のことは誰も約束していない。そこは織り込んで読んだほうがいいと思います。
日本の店には、もっといい話です
ここからが、日本で商売をしている私たちに効いてくる話です。
公式ヘルプに、はっとした一文がありました。直接チェックアウトが表示されるのは米国にいる顧客だけで、それ以外の国の顧客も商品は見つけられるが、購入は自社のオンラインストアへ誘導される、と。Google、Copilot、Meta、3つとも同じです。ChatGPTに至っては全世界で送客専用です。
つまり日本のお客様は、AIで商品を見つけたあと、うちのサイトに来て、うちのカートで買うということです。会員登録も、メールアドレスも、購入履歴も、全部自社に残ります。
モールとの違いが、ここではっきり出ます。お客様を貸してもらうのではなく、連れてきてもらえる。しかも今のところ、その紹介料は取られません。
新しい入口が、無料で増えた。そういう話です。

ただし、来る人はTOPページを通りません
いい話ばかり書いてきたので、ここからが本題です。
昔、お客様にアンケートを取ったことがあります。そのとき、こちらが用意していた答えと、返ってきた答えがまるで違いました。私たちが自信を持っていたページは見られていなくて、ついでに置いたような説明が決め手になっていた。
順番を決めているのは、こちらではなかった。あのとき、そう思い知りました。
同じことが、もっと大きな規模で起きようとしています。
これまでのECの動線には前提がありました。検索から入り、トップページを見て、カテゴリをたどって商品にたどり着く。あるいは広告からこちらが指定したランディングページを読ませ、説得して、カートに入れてもらう。どちらも、見せる順番をこちらが決められる前提です。
AIから来る人は、その順番を通りません。そもそも検索をしていないからです。トップページも、こだわって作ったランディングページも、見ないまま商品ページに降りてきます。
長い時間をかけて作り込んできた動線が、使われないまま素通りされる。そういうことが起き始めています。
SEOの話を、正直に書きます
ここで、SEOについて書いておきます。
勉強熱心な方ほど、ブログを書いて、商品ページにできるだけキーワードを入れて、その作業に忙殺されてきたと思います。SEO会社に頼んで被リンクを増やし、トップページを上位に上げる。特定のブランド名でカテゴリページを上げる。10年くらい前までは、これが主力でした。
商材によっては、今も効きます。同じ商品をずっと売り続けるお店なら、育てたページがそのまま資産になります。
ただ、ECは商品がどんどん変わります。
去年の型番は今年にはもうない。シーズンごとに入れ替わる。そういう商売で、入れ替わる商品ページを時間をかけて上位に育てるのは、正直、割に合いません。使い捨てになるページに、SEOは向いていないと思っています。
私はここ数年、SEOは要らないと思うようになっていました。そこに、今回の波が来ました。
ただ、書いてきたコンテンツが無駄になるわけではありません。中身が書いてあるページは、AIエージェントに拾ってもらえる可能性があります。積み上げたものは、行き先が変わるだけです。
今やるべきは、フィードを整えることです
では、何をするか。
商品データを、正しい形で持つことです。フィードを整える、と言い換えてもいいです。
整えたデータは、Shopifyがエージェントに届けに行ってくれます。こちらが一社ずつAIに営業して回る必要はありません。仕組みはもう用意されている。
ただし、届ける中身を作るのは自分たちです。
だから、商品の紹介文を1つずつちゃんと書いてください。全部の商品に同じ文章を使い回していたら、AIには違いが分かりません。違いが分からないものは、誰にも勧められません。
人に売るときと同じことです。この商品はここが違う、だからこういう方にはこれが合う。売り場でお客様に説明していることを、そのままデータとして書く。それだけです。
商品ページ1枚で話が完結していることも大事です。これが何で、誰に向いていて、いくらで、いつ届いて、合わなかったら返せるのか。別のページを見に行かないと分からない作りをやめる。送料や返品、事業者情報といったポリシーを埋めておくことも要ります。AIチャネルに載せるための要件になっていて、埋まっていないと土俵にすら上がれません。
派手な話ではありません。地味に埋めていく仕事です。でも、ここが根本から変わったところだと思っています。
米国では、もう動いています
公式が出している実例では、あるブランドは3月にAIチャネルが総売上の3.2%を占め、別のブランドはAIチャネル経由の売上が前年比20倍になったそうです。2社の例なので、そのまま自分の店に当てはめることはできません。ただ、動き始めているのは確かです。
そして、Googleは今後数か月でグローバルに広げると書いています。日本のお客様に直接チェックアウトが出る日も、そう遠くないと思っています。
そのとき、フィードが整っていなければ拾ってもらえません。
誤解のないように書いておきますが、SEOをやめろという話ではありません。検索から来るお客様は今もいますし、商材によっては主力のままです。ただ、そこ一本で立っているのが危うくなってきた、という話です。
10年前は被リンクでした。今はフィードです。売るために必要なことが、根本から入れ替わりました。
この記事は2026年9月時点の情報です。この分野は半年で前提が変わりました。判断するときは、必ず公式の最新をご確認ください。
みなさんのお店の商品説明、1つずつ違う文章になっていますか。私も見直しているところです。よかったら、どう書き分けているか教えてください。
それでは、また次回。