【Shopify】その売上、値引きで買っていませんか
みなさんこんにちは。アートトレーディングの藤井です。
先日、自分でこう書きました。
やめたら売上は落ちます。やっても利益は残りません。それでも昨年の数字は超えなければいけない。
小売をやっていれば、昨対を超えるためにあらゆる手を打ちます。これは当然のことです。 私もそうしてきました。
ただ、その「あらゆる手」の中に、誰にも見られていないものが混ざっていないか。今日はその話です。
それでは行ってみましょう。
「目標、達成しました」
その値引き、本当に合っていますか
広告と値引き、どちらのほうが厳しく見られているでしょうか。
会社によって違うと思います。値引きもきちんと決裁を通している会社はあります。ただ、私が見てきた中では、広告のほうがよく見られていました。
理由は、たぶん単純です。
広告費を増やすと、出ていくお金が増えます。 新しく出ていくものだから、稟議が回る。ROASはどうだ、CPAはいくらだ、と聞かれる。
値引きは、10%オフを15%オフにしても、出ていくお金は増えません。 売上から引かれるだけです。
もちろん、利益は減ります。EC事業だけをやっている会社なら、粗利率を見れば分かります。隠れているわけではありません。
ただ、増やす話ではないので、止める手続きがつきにくい。 その場で深くできてしまう。気づくのは、たいてい終わってからです。
「売上目標、達成しました」。素晴らしいことです。でも蓋を開けると、値引き、クーポン、送料無料の連発。利益を、じわじわ蝕んでいた。
売上は、お金で買えてしまいます。

数千万円売って、残らなかった話
支援先でこういうことがありました。詳細は伏せますが、起きたことだけ書きます。
セールの時期に、担当の方が外部の助言を受けました。「◯%オフにすれば売れますよ」。
その通りにして、数千万円売れました。 数字だけ見れば、大成功です。社内でも、そう報告されたはずです。
蓋を開けたら、大きな赤字でした。 売れば売るほど損が出る水準まで、値引きが入っていました。
ここは、はっきり書いておきます。
モールの担当者が見ているのは、その店舗の売上です。利益ではありません。
悪意の話をしているのではありません。役割の話です。店舗の売上を上げることが、その人の仕事だからです。
だから「広告を増やしてください」「売価を半分にしてください。そうすれば売れます」と、平気で言えます。 そして、言っていることは正しい。実際、売れます。
ただ、その先は見ていません。見るのが仕事ではないからです。
だから、自分たちで守るしかありません。
利益で見ている人間がこちら側にいなければ、誰も見てくれない。売上だけを見ている相手からは、売上だけを増やす答えが返ってきます。 それ以上でも以下でもありません。
10月2日、値引きを試せるようになりました
ここまでの話に、道具が一つ加わりました。
Shopifyの「Rollouts」に、割引が追加されました。 公式のお知らせは2026年10月2日付です。
できるのは3つ。新しい割引をお客様の一部にだけ出す。いまの割引と並べて結果を比べる。デザインやレジ周りの変更と同時に出す。 会員限定などの条件はそのまま効きますし、従来の開始日・終了日の指定も使えます。
Rolloutsはもともとデザインを試すための機能で、価格と割引は対象外でした。今年2月の時点でもできませんでした。そこが変わりました。
これまで、値引きが正しかったかどうかは確かめようがありませんでした。 一度決めたら年末まで変えられない。売れたから正解だったのか、もっと浅くても同じだったのか、永遠に分からない。
20%オフで売れた。でも15%オフでも同じだけ売れたかもしれない。その5%は、まるごと利益から消えています。
ようやく、確かめられるようになりました。

★ ツールが出すのは、転換率です
ここが、いちばん気をつけてほしいところです。
Shopifyが見せてくれるのは、転換率です。どちらの割引のほうが買ってもらえたか。
割引を深くすれば、転換率はほぼ確実に上がります。 当たり前です。ツールの表示を、そのまま勝ち負けにしないでください。
20%オフ:100件 × 粗利 1,600円 = 160,000円
15%オフ: 85件 × 粗利 2,000円 = 170,000円
転換率では20%オフの勝ち。利益では15%オフの勝ちです。 この計算を、ツールはしてくれません。自分で粗利を掛けて出してください。
結局ここでも同じことが起きます。道具も、売上側の数字しか見せてくれない。 利益で見るかどうかは、こちらが決めることです。
もうひとつ。その転換率の数え方が、9月21日に変わったばかりです。 ボットが除かれ、セッションの区切り方も変わりました。テストは変更後どうしの比較なので問題ありませんが、「去年の年末はこうだった」は持ち込めません。
何と何を比べるか
ひとつだけ選ぶなら、という視点で挙げます。
- 15%オフ と 20%オフ — 5%の差で注文数がどれだけ動くか。いちばん素直で、いちばん効きます
- 15%オフ と 送料無料 — 値引きは原価に、送料無料は配送費に効きます。客単価によって残る額が変わります
- 全品10%オフ と 対象商品だけ30%オフ — 広く浅くか、狭く深くか
欲張らないでください。 いくつも同時に試すと、どれが効いたか分からなくなります。年末までの時間を考えると、試せるのは1つか2つです。
やるなら、今月です
年末商戦の準備は、テストまで含めるなら10月1日スタートが最後と言われています。6週間かけて、うち2週間をテストに充てる計算です。
割引を試せるようになったのが10月2日。 ちょうど、その窓が開いた瞬間でした。11月に入ってからでは間に合いません。お客様が集まる時期にテストをすると、本番の売上を削ることになります。
ひとつ注意があります。プランによって使える範囲が違う可能性があります。 上位プランでないと比較テストまではできない、という情報もありますが、公式の案内では確認できませんでした。管理画面の Markets → Rollouts を開いて、ご自身の店で何ができるか先に確認してください。
最後に、もう一度だけ。
昨対を超えることは大事です。 そのために手を打つのも当然です。ただ、その売上を何で買ったのかは、自分で数えておいたほうがいい。
広告で買ったなら、経費に出ます。誰かが気づきます。値引きで買ったら、誰も気づきません。
この記事の情報は2026年10月時点のものです。機能の詳細はShopifyの公式チェンジログ「Schedule and test discounts with Rollouts」をご確認ください。
みなさんの今年の割引率は、何を根拠に決まりましたか。
それでは、また次回。