【Shopify】その売上、値引きで買っていませんか

【Shopify】その売上、値引きで買っていませんか

約5分文・藤井玲(髭男社長)
Shopify脱モール広告と数字

みなさんこんにちは。アートトレーディングの藤井です。

先日、自分でこう書きました。

やめたら売上は落ちます。やっても利益は残りません。それでも昨年の数字は超えなければいけない。

小売をやっていれば、昨対を超えるためにあらゆる手を打ちます。これは当然のことです。 私もそうしてきました。

ただ、その「あらゆる手」の中に、誰にも見られていないものが混ざっていないか。今日はその話です。

それでは行ってみましょう。

「目標、達成しました」

その値引き、本当に合っていますか

広告と値引き、どちらのほうが厳しく見られているでしょうか。

会社によって違うと思います。値引きもきちんと決裁を通している会社はあります。ただ、私が見てきた中では、広告のほうがよく見られていました。

理由は、たぶん単純です。

広告費を増やすと、出ていくお金が増えます。 新しく出ていくものだから、稟議が回る。ROASはどうだ、CPAはいくらだ、と聞かれる。

値引きは、10%オフを15%オフにしても、出ていくお金は増えません。 売上から引かれるだけです。

もちろん、利益は減ります。EC事業だけをやっている会社なら、粗利率を見れば分かります。隠れているわけではありません。

ただ、増やす話ではないので、止める手続きがつきにくい。 その場で深くできてしまう。気づくのは、たいてい終わってからです。

「売上目標、達成しました」。素晴らしいことです。でも蓋を開けると、値引き、クーポン、送料無料の連発。利益を、じわじわ蝕んでいた。

売上は、お金で買えてしまいます。

【Shopify】その売上、値引きで買っていませんかの図解1

数千万円売って、残らなかった話

支援先でこういうことがありました。詳細は伏せますが、起きたことだけ書きます。

セールの時期に、担当の方が外部の助言を受けました。「◯%オフにすれば売れますよ」。

その通りにして、数千万円売れました。 数字だけ見れば、大成功です。社内でも、そう報告されたはずです。

蓋を開けたら、大きな赤字でした。 売れば売るほど損が出る水準まで、値引きが入っていました。

ここは、はっきり書いておきます。

モールの担当者が見ているのは、その店舗の売上です。利益ではありません。

悪意の話をしているのではありません。役割の話です。店舗の売上を上げることが、その人の仕事だからです。

だから「広告を増やしてください」「売価を半分にしてください。そうすれば売れます」と、平気で言えます。 そして、言っていることは正しい。実際、売れます。

ただ、その先は見ていません。見るのが仕事ではないからです。

だから、自分たちで守るしかありません。

利益で見ている人間がこちら側にいなければ、誰も見てくれない。売上だけを見ている相手からは、売上だけを増やす答えが返ってきます。 それ以上でも以下でもありません。

10月2日、値引きを試せるようになりました

ここまでの話に、道具が一つ加わりました。

Shopifyの「Rollouts」に、割引が追加されました。 公式のお知らせは2026年10月2日付です。

できるのは3つ。新しい割引をお客様の一部にだけ出す。いまの割引と並べて結果を比べる。デザインやレジ周りの変更と同時に出す。 会員限定などの条件はそのまま効きますし、従来の開始日・終了日の指定も使えます。

Rolloutsはもともとデザインを試すための機能で、価格と割引は対象外でした。今年2月の時点でもできませんでした。そこが変わりました。

これまで、値引きが正しかったかどうかは確かめようがありませんでした。 一度決めたら年末まで変えられない。売れたから正解だったのか、もっと浅くても同じだったのか、永遠に分からない。

20%オフで売れた。でも15%オフでも同じだけ売れたかもしれない。その5%は、まるごと利益から消えています。

ようやく、確かめられるようになりました。

【Shopify】その売上、値引きで買っていませんかの図解2

★ ツールが出すのは、転換率です

ここが、いちばん気をつけてほしいところです。

Shopifyが見せてくれるのは、転換率です。どちらの割引のほうが買ってもらえたか。

割引を深くすれば、転換率はほぼ確実に上がります。 当たり前です。ツールの表示を、そのまま勝ち負けにしないでください。

20%オフ:100件 × 粗利 1,600円 = 160,000円
15%オフ: 85件 × 粗利 2,000円 = 170,000円

転換率では20%オフの勝ち。利益では15%オフの勝ちです。 この計算を、ツールはしてくれません。自分で粗利を掛けて出してください。

結局ここでも同じことが起きます。道具も、売上側の数字しか見せてくれない。 利益で見るかどうかは、こちらが決めることです。

もうひとつ。その転換率の数え方が、9月21日に変わったばかりです。 ボットが除かれ、セッションの区切り方も変わりました。テストは変更後どうしの比較なので問題ありませんが、「去年の年末はこうだった」は持ち込めません。

何と何を比べるか

ひとつだけ選ぶなら、という視点で挙げます。

  • 15%オフ と 20%オフ — 5%の差で注文数がどれだけ動くか。いちばん素直で、いちばん効きます
  • 15%オフ と 送料無料 — 値引きは原価に、送料無料は配送費に効きます。客単価によって残る額が変わります
  • 全品10%オフ と 対象商品だけ30%オフ — 広く浅くか、狭く深くか

欲張らないでください。 いくつも同時に試すと、どれが効いたか分からなくなります。年末までの時間を考えると、試せるのは1つか2つです。

やるなら、今月です

年末商戦の準備は、テストまで含めるなら10月1日スタートが最後と言われています。6週間かけて、うち2週間をテストに充てる計算です。

割引を試せるようになったのが10月2日。 ちょうど、その窓が開いた瞬間でした。11月に入ってからでは間に合いません。お客様が集まる時期にテストをすると、本番の売上を削ることになります。

ひとつ注意があります。プランによって使える範囲が違う可能性があります。 上位プランでないと比較テストまではできない、という情報もありますが、公式の案内では確認できませんでした。管理画面の Markets → Rollouts を開いて、ご自身の店で何ができるか先に確認してください。

最後に、もう一度だけ。

昨対を超えることは大事です。 そのために手を打つのも当然です。ただ、その売上を何で買ったのかは、自分で数えておいたほうがいい。

広告で買ったなら、経費に出ます。誰かが気づきます。値引きで買ったら、誰も気づきません。

この記事の情報は2026年10月時点のものです。機能の詳細はShopifyの公式チェンジログ「Schedule and test discounts with Rollouts」をご確認ください。

みなさんの今年の割引率は、何を根拠に決まりましたか。

それでは、また次回。

書いた人

藤井玲(髭男社長)/アートトレーディング株式会社 代表取締役
2001年に自分が楽天へ出店したのが始まりで、ECの現場は25年。支援する側にまわって20年以上、 これまで200社以上のお手伝いをしています。Shopify Plus Partners。制作実績はShopifyだけで150サイトを超えています。 地方のメーカーや生産者のEC事業部として、自社ECの立ち上げから運営まで伴走しています。

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