【EC】今年の年末商戦、AIは探しに来ます

【EC】今年の年末商戦、AIは探しに来ます

約4分文・藤井玲(髭男社長)
ShopifyEC×AI

みなさんこんにちは。アートトレーディングの藤井です。

前回は、Shopifyの卸機能が全プランで使えるようになった話をしました。今日は、またAIの話に戻ります。

少し前に、AIが買う時代に商品を見つけてもらえるか、ということを書きました。今日はその続きです。実際のところ、AIには何がどこまで任されているのか。

さて、本日は、今年の年末商戦について。海外の調査が出そろってきたので、そこから読み取れることを。

それでは行ってみましょう。

「AIで買う人なんて、うちにはまだ来ていないと思うんですが」

AIから来る人は、もう増えています

まず、実測のデータから。

Adobeが米国の小売サイトへの訪問を集計しています。1兆件を超える規模です。それによると、2025年11月から12月の年末商戦で、AI経由の流入は前年比で約7倍になりました。2026年1月から3月も、前年比で約4倍が続いています。

面白いのはここからです。以前、AI経由のお客様は「見るだけで買わない」と言われていました。実際、2025年3月の時点では、AI経由の成約率はそれ以外より38%低かった。

それが2026年3月には、逆にそれ以外より42%高くなりました。Adobeの計測では過去最高です。滞在時間も48%長く、見るページも13%多い。

1年で、ひっくり返っています。

Salesforceは、今年の年末商戦のEC流入のうち20%がAIチャット経由になると予測しています。5分の1です。

【EC】今年の年末商戦、AIは探しに来ますの図解1

ただし、AIは財布までは任されていない

ここからが、今日いちばん伝えたいことです。

VisaとPYMNTSが8月に出した調査があります。米国・ブラジル・UAEで、消費者5,241人、事業者1,185社、決済会社150社に聞いたものです。

この中に、はっとする数字がありました。

消費者がAIエージェントに何を任せるかを聞くと、「商品を探す・比べる」を任せる人は56%。ポイントの管理は51%。ところが、保存した決済情報へのアクセスを許す人は、4割を切ります。

任せる範囲が、探すことから買うことに移った瞬間に、信頼がすとんと落ちる。

同じ調査で、直近の買い物を調べるのにAIを使った人は48%でした。2024年半ばから約2倍です。内訳はChatGPTなどが30%、Geminiが19%、お店のAIアシスタントが22%。

つまり、今年の年末商戦でAIが担うのは、買うことより先に、探すことです。

「AIが買う時代」という言い方が広まっていますが、少なくとも今年に関しては、正確ではありません。AIは探しに来ます。買うのは、まだ人です。

いちばん困るのは、来ているのに気づけないこと

同じVisaの調査に、もうひとつ気になる数字がありました。

AI経由の流入を人間の流入と見分けられる事業者は、23%しかいない。

4社に3社は、AIから人が来ていても、それが分からない状態だということです。

これを読んで、自分の昔を思い出しました。

私が売る側だった頃、数字が読めない時期がありました。正確に言うと、読めないというより、見ていなかった。毎日、いくつ売れたかは見ます。でも、そのお客様がどこから来たのかは見ていませんでした。検索から来たのか、メルマガから来たのか、たまたま見つけたのか。分からないまま、売れた数だけを追っていた。

見ていないものは、増えても減っても気づけません。あの頃の私は、たぶん何度も、伸びかけていた入口を自分でつぶしていたと思います。

「うちにはまだAIから来ていない」と感じている方がいたら、一度だけ確認してみてください。来ていないのか、見えていないのか。この2つは、まったく違います。

【EC】今年の年末商戦、AIは探しに来ますの図解2

日本は、まだ4分の1です

ここまで海外の話をしてきたので、国内の数字も。

PwC Japanが7月に出した消費者調査では、買い物でAIツールを使った経験がある人は全体で24.9%でした。20代以下に限ると38.7%です。

海外の48%と並べたくなりますが、これは並べません。国も設問も違うので、比べても意味のある差になりません。

ただ、中身を見ると方向は同じでした。使われ方の上位は「欲しい商品を探す」と「商品について質問する」。日本でも、まず探索と比較から入っています。

私はこれを、遅れているとは読みませんでした。まだ4分の1ということは、これから来るということです。そして、来る前に準備できる時間が、まだ少しある、ということでもあります。

商品ページが、いちばん読まれていない

では、何を準備するのか。

Adobeが、Webページの内容をAIがどれだけ読めるかを点数化しています。米国の小売サイト全体の平均で、トップページが75点、カテゴリページが74点。

商品ページは、66点でした。

いちばん低いのが商品ページです。理由は想像がつきます。商品は数が多い。何百、何千とあるページの中身まで、手が回らない。上位のブランドは82.5点、下位は54.2点で、ここが大きく開いていました。

Salesforceも同じことを別の言い方で書いていました。従来のSEOだけでは、AIエージェントには見つけてもらえない。エージェントは人間のようにサイトを見ないので、データそのものを渡す必要がある、と。

見た目を整える話ではないんです。商品の中身が、文字として書かれているかどうかの話です。

年末までにやるなら、これだけ

全部はできません。今から年末商戦までに、ひとつだけ選ぶなら、私は商品説明だと思います。

型番、素材、サイズ、産地、何に使うのか、誰に向いているのか。写真を見れば分かるから、と省いてきたことを、文章にする。人が読んで分かる日本語で、省略せずに書く。

これはAI対策という新しい仕事ではありません。商品説明を書ききるという、前からある仕事です。それがたまたま、今いちばん効くようになっただけです。

決済まわりの対応は、今年は急がなくていいと思っています。まだ任されていないからです。

数字は2026年9月時点のものです。この分野は動きが速いので、判断するときは最新のものを確認してください。

みなさんのお店では、AI経由のお客様、見えていますか。見えているなら、どうやって見ているのか、よかったら教えてください。

それでは、また次回。

書いた人

藤井玲(髭男社長)/アートトレーディング株式会社 代表取締役
2001年に自分が楽天へ出店したのが始まりで、ECの現場は25年。支援する側にまわって20年以上、 これまで200社以上のお手伝いをしています。Shopify Plus Partners。制作実績はShopifyだけで150サイトを超えています。 地方のメーカーや生産者のEC事業部として、自社ECの立ち上げから運営まで伴走しています。

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