【自社ECの始め方】の前に、私が3ヶ月動けなかった話

【自社ECの始め方】の前に、私が3ヶ月動けなかった話

約4分文・藤井玲(髭男社長)
Shopify脱モール広告と数字

みなさんこんにちは。アートトレーディングの藤井です。

9月に入りましたが、まだ暑い日が続きますね。気づけばnoteの更新がずいぶん空いてしまいました。書きたいことは溜まる一方なので、また少しずつ出していきます。

さて、本日は、自社ECの始め方について。

……なのですが、手順の話はしません。手順を知っても動けなかった時期が私自身にあったので、その話をします。

それでは行ってみましょう。

「自社サイト、作ったほうがいいのはわかってるんですけどね」

相談に来られる社長さんから、いちばん多く聞く言葉です。だいたいそのあとに「でも、うちはまだそこまでじゃなくて」と続きます。

その気持ち、正直わかります。私も長いこと、同じことを言っていた側だったので。

「わかってる」で止まっていた時期が、私にもありました

自社ECの始め方を調べると、手順はいくらでも出てきます。商材を決めて、コンセプトを固めて、カートを選んで、決済と物流を整える。どれも間違っていません。

ただ、あれを読んで動き出せた社長さんを、私はあまり見たことがないんです。

止まっている理由が、手順の知識ではないからだと思います。何をすればいいかはだいたいわかっている。それでも動けない。私もそうでした。楽天の売上がそこそこ立っていた頃、自社サイトの話になると「今じゃない」と、いつも先送りにしていました。

モールは、お客様を貸してもらっている場所

転機になったのは、ある年の売上を振り返っていた時です。

数字は悪くありませんでした。ただ、「うちの商品を買ってくれた人って、どんな人なんだろう」と考えた時に、何も答えられなかった。名前も、なぜ選んでくれたのかも、次に何を欲しがっているのかも、わからない。

あの時にはじめて腹に落ちました。モールは、お客様を貸してもらっている場所なんだと。

誤解のないように書いておくと、私はモールを否定していません。今でも楽天の運営はやりますし、入口としてこれ以上の場所はないと思っています。知らない会社の商品を、知らない人が買ってくれる。あれは本当にすごい仕組みです。

ただ、借りているものは、いつか返すことになります。お客様との関係を自分の側に置いておきたいなら、自分の家がいる。そういう話です。

広告費10万円を入れるのに、3ヶ月迷いました

とはいえ、家を建てただけでは、誰も来てくれません。

自社ECを始めて最初にぶつかったのがそこでした。モールにいた頃は、出しておけば人が来た。自社サイトは、こちらから呼びに行かないと本当に誰も来ない。

それで広告を出すことにしたのですが、月10万円を入れる決断に、私は3ヶ月かかりました。今書いていても情けないのですが、事実です。売上の中から出せる範囲で、と考えると、どうしても手が止まる。

やっと入れてみて、結果は散々でした。思ったほど売れず、「やっぱり捨てたかな」と落ち込みました。

でも、入れたから見えたことがあったんです。どの商品が反応されないのか。どの言葉が刺さらないのか。入れなければ、ずっとわからないままでした。

広告はコストではなく、検証費。あの時の10万円は、今でもいい授業料だったと思っています。

「小さく始める」と「様子を見る」は、別のことでした

先に言っておくと、小さく始めること自体は正しいと思っています。私がShopifyをおすすめするのも、小さく始めて大きく育てられるからです。最初から大きな箱を作る必要はありません。

私が動けなかったのは、そこではなくて。

まずは無料のカートで。広告もまだ出さない。売れたら投資するよ。——この順番のことです。

正直に言うと、私もそう考えていた時期がありました。でも、このスタンスでいる限り、投資するときは絶対に来ません。売れないから投資しない、投資しないから売れない。ずっとその輪の中にいることになります。

始めることは小さくていい。でも、決めることまで小さくすると、いつまでも決まらないんです。

投資が先で、利益は後。この順番を、私は先輩の経営者に言われました。最初は信じられませんでした。逆だろう、と思っていました。

でも今は、はっきりわかります。投資のない事業に、成長はありません。

決めるのは、手段ではありませんでした

自社ECの始め方を検索している時点で、手段はもう半分決まっています。Shopifyでも、他のカートでも、選んだ先で何とかなります。

決められないのは、そこではない。「お客様との関係を、自分の手に持ち直すかどうか」という一点だと思います。それを決めた社長さんは、手順のほうは後からいくらでも埋まっていきます。

私も、まだ迷うことがあります。25年やっていても、毎回これでいいのかと考えます。だから偉そうなことは言えません。

ただ、あの時「今じゃない」と言い続けていた自分に会えるなら、一つだけ伝えたいことがあります。今じゃないと言っている間に過ぎた時間は、戻ってこないぞ、と。

みなさんは、いま何を決めきれずにいますか。よかったら教えてください。

向き不向きはあると思います。合わないと感じたら、それでいいんです。アートトレーディングでは、地方のメーカーや生産者の会社さんと、EC事業部まるごとの伴走をやっています。話してみたいと思ったら、気軽に声をかけてください。

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それでは、また次回。

書いた人

藤井玲(髭男社長)/アートトレーディング株式会社 代表取締役
2001年に自分が楽天へ出店したのが始まりで、ECの現場は25年。支援する側にまわって20年以上、 これまで200社以上のお手伝いをしています。Shopify Plus Partners。制作実績はShopifyだけで150サイトを超えています。 地方のメーカーや生産者のEC事業部として、自社ECの立ち上げから運営まで伴走しています。

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