フルスクラッチとは?Webサイト構築の流れからメリット・デメリットまで含めて徹底解説!
ECサイトを構築する際に「フルスクラッチ」という開発方法が、選択肢にあがることがあります。フルスクラッチは、その実現に高い技術力や多くのコストが必要になる分、その企業ならではのカスタマイズされたECサイトを構築することができます。
しかし「フルスクラッチ」は専門的な用語のため、システムに馴染みのない人にとっては聞きなれない言葉かもしれません。
そこで本記事では、ECサイトのフルスクラッチについて、その定義やメリット・デメリットまでご紹介いたします。
目次
フルスクラッチとは?フルスクラッチでは既存のフレームワークは一切使用しない?フルスクラッチとパッケージ開発の違いとは?フルスクラッチでWebサイトを構築する理由とは?フルスクラッチ開発スムーズに進めるためのポイントフルスクラッチはどのような企業におすすめなのか?まとめ
フルスクラッチとは?
フルスクラッチとは、英語で「粘土やプラスチック板といった素材から模型を組み立てる」という意味の言葉です。この意味を元として、システム構築において「システムすべてをゼロから自作すること」を指してフルスクラッチと呼ぶようになりました。
フルスクラッチはECパッケージとは異なり、既存のプログラムやパッケージソフトウェアを使わずに真っ白な状態から独自にECサイトを構築する手段です。
フルスクラッチでは既存のフレームワークは一切使用しない?
スクラッチ開発について、システムを「ゼロから作り出す」とはいっても、実際にはテンプレートやフレームワークを他社から一部流用することがあります。自社のECサイトのシステムに実装させたいシステムなどを外部の会社に伝え、開発をしてもらうというものです。
要件を受けた会社は、その企業が既に持っているシステム構築のテンプレートやフレームワークを応用しながら要望に応えていきます。
このようなECサイトの構築の仕方を「スクラッチ開発」といいます。
通常、完全にゼロの状態から構築するフルスクラッチ開発は、高い技術力とコストが必要になるため大規模なECサイトで採用されることが多いです。
しかし一部のフレームワークを他から流用する分、コストなどを抑えられるスクラッチ開発は、規模が小さい企業でも採用されることがあります。
いずれにしても既製品のECパッケージなどは用いずに開発する方法で、両者に大きな意味の違いはありません。
フルスクラッチとパッケージ開発の違いとは?
フルスクラッチとよく対比してあげられるのが、ECパッケージを利用したECサイトの構築方法であるパッケージ開発です。フルスクラッチ開発とパッケージ開発では、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。
・フルスクラッチ開発とパッケージ開発の違い
フルスクラッチ | パッケージ開発 | |
---|---|---|
費用 | 数千万円以上 | 数百万円~数千万円 |
開発期間 | 半年以上~数年 | 3ヵ月~半年 |
機能の拡張性 | 全て実現可能 | ほぼ実現可能 |
5000商品 | 3~5年で陳腐化する | 3~5年で陳腐化する |
フルスクラッチ開発とパッケージ開発の最大の違いは、導入にかかる初期費用と期間です。
フルスクラッチ開発の場合、初期費用は1000万円~数億円で、その導入には最短でも1年程度かかるのに対し、パッケージ開発の場合は初期費用が数十万~数千万と、比較的安価で始めることができます。導入までの期間も最短で3か月程度が目安とされています。
フルスクラッチ開発と比べて、パッケージ開発は少ない手間でECサイト構築を行うことができます。
また、それぞれの開発方法が対象としている企業の規模も異なります。フルスクラッチ開発は大手企業を中心に対象としているのに対し、パッケージ開発は中規模企業以上を対象としています。フルスクラッチ開発にかかる費用や期間を考えると、ある程度体力のある大手企業でなければ、その実現は難しいようです。
ECパッケージの利用には、低コスト・短期間でECサイトの構築ができるというメリットがある一方、パッケージのシステムを大幅に変更するようなカスタマイズができないことが、デメリットの一つとしてあげられます。そのため自社の業務システムやサービスなどを、使用するECパッケージに合わせて運営していく必要があります。
フルスクラッチでWebサイトを構築する理由とは?
ECパッケージとフルスクラッチ開発の主な違いは、導入にかかる費用と期間にあります。
ECパッケージのデメリットとして、柔軟なカスタマイズをすることが難しいという点をあげましたが、近年ではECパッケージが機能を拡充し、ほとんどの機能をパッケージ開発でも安く装備することができるようになりました。
しかしこのような状況下でも、大手ECサイトを運営している大企業では、あえてフルスクラッチ開発でWebサイト(ECサイト)を構築しているところがほとんどです。フルスクラッチ開発には、その方法でしか得られないメリットが複数あるためです。
以下では、フルスクラッチ開発のメリットと、デメリットをご紹介いたします。
フルスクラッチのメリット
フルスクラッチのメリットとして、自社独自のシステムを開発できること、保守対応・機能の追加に柔軟に対応できることの2点があげられます。
フルスクラッチ開発でのシステム導入は、その企業が自社のECサイトに盛り込みたい機能や要件をすべて吸収したうえで、実装のためのシステム開発が行われます。つまり自社のニーズや、見込み顧客のニーズに合致したシステム開発が可能になるということです。
パッケージ製品のカスタマイズで、ある程度の要件を達成することは可能ですが、それにも様々な成約や限界があります。何よりECパッケージのカスタマイズによっては、フルスクラッチでゼロから開発するよりも費用が高くなってしまう場合があります。
フルスクラッチでは自由度の高い開発を行えるため、どのような要件も最初からシステムに
に落とし込むことができます。
またシステムの完成後も、保守対応を行う必要があります。保守対応とは、システムの開発が終了した後、予期せぬエラーやバグが発生した際の調整や修正を継続的に行うことです。
加えて、追加のニーズや制度や法律の変更によって機能を追加したいという場合もあります。
フルスクラッチ開発ではシステム構築の手順を社内で担っているため、社内で保守対応や機能の変更・追加を行うことができます。市場の動きや、顧客のニーズに合わせた変化を素早く行うことが成功の鍵となるECサイトでは、フルスクラッチならではのシステムの柔軟性は大きな強みとなります。
フルスクラッチのデメリット
フルスクラッチのデメリットは、多くのコストと時間を費やさなければならないことと、高い技術力を持った人材が必要になることの2点です。
フルスクラッチ開発の場合、全てをゼロから開発するためその完成には長い期間を要します。また、システム開発のためにかかる人件費をはじめとしたコストも大きくなります。一部のフレームワークを他者から流用する場合には、その分コストを抑えることもできますが、それではフルスクラッチのメリットが半減してしまいます。
そのためフルスクラッチの特徴を最大限に活かしてシステム開発をするためには、スクラッチ開発ができる人材を雇用して、システム開発・保守のための部署を作る必要があります。
さらにフルスクラッチ開発ができる人材は限られており、少ない人員に業務の負担がかかってしまう恐れが考えられます。
フルスクラッチ開発スムーズに進めるためのポイント
フルスクラッチ開発におけるサイト運用を達成するまでには、いくつかのステップを踏む必要があります。以下では、フルスクラッチ開発において必要なステップをご紹介いたします。
フルスクラッチ開発において必要なステップは以下の通りになります。
- 要件定義
- 設計
- プログラム開発
- テスト
- 運用
まずスクラッチ開発を行うに当たっては、要件定義を行います。要件定義とは、何をどのように作るのか、何をECサイト内で実現したいのかを決めます。要件が固まったら、具体的なシステムの設計をして、実際のシステムのプログラム開発に入ります。最終的にテストを行い、テスト結果に問題がなければ、ECサイトとして運用をスタートします。
これらの5つのステップの中で重要になるのは最初の要件定義です。要件定義の際に希望があいまいで、システム開発会社側に開発の意図が正しく伝わっていないと、システムの完成後にすべての工程をもう一度構築し直さなければならないという事態が発生してしまうためです。
またゼロから作り直さなければならないとなると、多大な追加費用がかかってしまう可能性もあります。
このような事態を避けるために、自社が現在抱えている課題と、システム開発をする目的を明確にした上で、要件を固めていく必要があります。
フルスクラッチはどのような企業におすすめなのか?
ECサイトを構築するには複数の方法があり、どの方法を選ぶべきかは企業がどのようなECサイトを構築したいかによって異なります。
フルスクラッチの場合は、「ECサイトに独自のシステムを構築する必要性があるのか」・「開発にどれくらいの期間をかけるのか」という2点を考えることで、自社がフルスクラッチ導入に踏み切るべきかを検討することができます。
以下ではフルスクラッチ開発がどのような企業におすすめなのかをご紹介していきます。
独自のシステムを構築する必要がある企業
自社で構築しようとしているECサイトに独自性が必要な場合、フルスクラッチ開発の導入をおすすめすることができます。
これから構築しようとしているシステムが、既存のECパッケージでは売られていない、あるいは類似品はあるものの重要な機能が欠落しているという状況下では、フルスクラッチ開発に踏み切ることで課題を解決することができます。
また、複数のパッケージを組み合わせなければ機能を実現できない場合や、大幅なカスタマイズが必要な場合にもフルスクラッチ開発がおすすめです。
なぜなら、無理にECパッケージのカスタマイズを行おうとしたことで、かえってフルスクラッチ開発よりも開発コストが膨らんでしまう可能性があるためです。
開発にかかる時間に余裕がある企業
ECサイトの構築に緊急性が低く、数年のスパンでじっくりと構築することができる場合、フルスクラッチ開発をおすすめします。
それに対して、「3か月後にはECサイトを完成させて運用を開始したい」という場合には、フルスクラッチ開発は不向きです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。本記事では、フルスクラッチについてご紹介致しました。
フルスクラッチはその実現に多くの費用と時間を要する一方、独自性のあるシステム構築や柔軟性と、スピード感のあるシステム改善を可能にするECサイト開発方法です。
この記事がECサイトを運営する際に参考になれば幸いです。
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