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PCIDSSとは?取得のための費用、要件についてわかりやすくご紹介いたします。

ECサイトを利用する際に利用者は自身のカード情報の扱いについて不安を覚えていらっしゃいます。利用者を安心させるために必要な情報はPCIDSS準拠であるか、カード情報の不保持化の導入は済んでいるのかということです。今回はPCIDSSと不保持化についてご紹介いたします。

監修者

アートトレーディング株式会社代表取締役。
2002年に楽天市場へ出店したことをきっかけに、EC支援サービスの提供をスタート。累計150社以上のサイト制作、運営経験を持つ。

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PCIDSSとは?わかりやすくご紹介

PCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)とはクレジットカードのセキュリティ基準です。以前はクレジットカード会社各社に独自のセキュリティ基準があり、各社それぞれの要件を満たさなくては複数のクレジットカードを取り扱うことができませんでした。そのため加盟店にとってコストが大きくなっていました。
そこで、国際カードブランド5社(American Express、Discover、JCB、MasterCard、VISA)が加盟店のリスクとコストに対応するために作成した世界共通のセキュリティ基準がPCIDSSです。

PCIDSSの取得はクレジットカード情報を保持、処理、伝送をする全ての企業に必要とされています。これはECサイトを運営している企業も対象となっています。
しかし、予算や専任者がおらず、PCIDSSに準拠することが難しい場合は「カード情報の非保持化」をする必要があります。カード情報の非保持化については後述いたします。

PCIDSSの取得に掛かる費用・要件一覧

PCIDSSの取得にかかる費用は規模によって変化します。しかし、小規模な加盟店の場合でも初期費用は1000万円以上かかり、PCIDSS準拠で運営を行うためには月額100万円以上必要で、2年に1度更新を行う必要があります

PCDSSの費用

  • 初期費用:1000万円以上
  • 運用費用:月額100万円以上

なぜ莫大な費用が掛かるかというと、PCIDSS準拠には厳しい評価項目が定められているためです。PCIDSS準拠の基準には大きく6の目標と12の要件が定められていますが評価項目は約400になります。ここでは6の目標と12の要件についてご紹介いたします。

6の目標 12の要件
安全なネットワークとシステムの構築と維持 1.カード会員データを保護するために、ファイアウォールをインストールして構成を維持する
2.システムパスワードおよびその他のセキュリティパラメータにベンダ提供のデフォルト値を使用しない
カード会員データの保護 3.保存されるカード会員データを保護する
4.オープンな公共ネットワーク経由でカード会員データを伝送する場合、暗号化する
脆弱性管理プログラムの維持 5.すべてのシステムをマルウェアから保護し、ウイルス対策ソフトウェアまたはプログラムを定期的に更新する
6.安全性の高いシステムとアプリケーションを開発し、保守する
強力なアクセス制御手法の導入 7.カード会員データへのアクセスを、業務上必要な範囲内に制限する
8.システムコンポーネントへのアクセスを識別・認証する
9.カード会員データへの物理アクセスを制限する
ネットワークの定期的な監視
およびテスト
10.ネットワークリソースおよびカード会員データへのすべてのアクセスを追跡および監視する
11.セキュリティシステムおよびプロセスを定期的にテストする
情報セキュリティポリシーの維持 12.すべての担当者の情報セキュリティに対応するポリシーを維持する

(参照:pciSecurityStandardsCouncil ayment Card Industry(PCI)データセキュリティ基準要件とセキュリティ評価手順
上記の6の目標と12の要件を満たすことでPCIDSS準拠であることが認められますが、完全に準拠するには非常にハードルが高い内容となります。

PCIDSS認定の取得方法

PCIDSS認定の取得方法は以下の3つに分けられます。カード情報の取扱い形態や規模によって適切な方法でPCIDSS認定を取得しましょう。

PCIDSS認定の取得方法①訪問審査

PCI国際協議会によって認定された審査機関に訪問してもらい審査を受けることで認定を所得する方法です。
クレジットカード会社のような情報の取扱い規模が大きい事業者に要請されている方法です。

PCIDSS認定の取得方法②サイトスキャン

WEBサイトに侵入された際に、クレジットカード情報が盗まれることがないかを調査し、認証を取得する方法です。
PCI国際協議会に認定されたベンダーのスキャンツールによって1年間に4回以上点検を受けサイトの脆弱性がないことを調査します。認定されたベンターはPCI国際協議会のサイトに掲示されています。

カード情報の取扱いが中規模、かつインターネットに接続している企業に要請されている方法です。

PCIDSS認定の取得方法③自己問診

PCIDSSが要求する評価項目に基づいて作成されたアンケート形式の自己問診表に回答を行う取得方法です。全ての回答に「Yes」が付くことでPCIDSS準拠であることが認定されます。

カード情報取扱いの少ない一般的な加盟店の事業者向けの認定取得方法です。
1つでPCIDSS準拠が認定されるカード情報の取扱い規模や事業形態によって複数実施する必要があります。また、カードブランド5社各社それぞれがレベルを設定しており、カードブランドによって異なる要求事項が設定されています。

PCIDSSとカード情報の非保持化について

PCIDSS準拠には非常に厳格な要求事項が設定されており、また、莫大な費用が掛かります。そのため、「予算が足りない」や「専任者がいない」といった理由でPCIDSS準拠が難しい場合があります。そこで必要な考え方が「カード情報の非保持化」です。
PCIDSSの取得はクレジットカード情報を保持、処理、伝送をする全ての企業に必要とされていますが、カード情報を企業内で保持をしなければ悪意のある第三者によって狙われるリスクが削減できるという考え方に基づいた対策方法だからです。
注意すべき点はPCIDSSと非保持化が同等であると見なせるのはクレジットカード加盟店のみということです。カード発行会社や加盟店契約会社、サービスプロバイダーといった加盟店ではなく、カード情報の保持を前提とした事業者に対してはPCIDSS準拠が求められています。
一般的にECサイト運営でクレジットカードを導入する場合には、予算がある場合や専任者がいる場合を除き「カード情報の非保持化」を選択することが推奨されます。

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PCIDSSの準拠証明書とPADSSの検証証明書の違い

PCIDSSについて調べていると、PADSSや、準拠証明書と検証証明書のような非常によく似た名前を目にします。それぞれの違いについてご紹介いたします。

PADSS(Payment Application Data Security Standard)

PADSSとは決済アプリケーション向けのセキュリティ基準のことで、POSといったような決済アプリケーションが守るべき基準となっています。PCIDSSはクレジットカード情報を取扱う企業が守るべき基準なので似ていますが全くの別物です。PCIDSS準拠の企業の場合にはPADSS準拠の物を採用するようにしましょう。

PCIDSSの準拠証明書とPADSSの検証証明書

準拠証明書とは加盟店及びサービスプロバイダーがPCIDSS準拠である証明するための書類で、検証証明書とはPADSSの評価の結果を証明するための書類です。名前が非常に似通っていますが、証明する内容は別物なので注意しましょう。

PCIDSSとPCISSCの関係、準拠企業の一覧化について

PCISSC(Payment Card Industry Security Standards Council)とは国際カードブランド5社(American Express、Discover、JCB、MasterCard、VISA)が共同で設立した独立組織の名称です。この組織が作成したセキュリティ基準がPCIDSSとなっています。
PCIDSSは世界基準のセキュリティであるため、PCIDSS準拠していることが利用客に知られれば安心感を与えられ企業価値の上昇に繋がることが考えられます。しかし、5社のうち準拠企業の一覧化をしているのはMasterCardとVISAの2社のみになります。
これはPCIDSS 準拠企業のセキュリティが高いため、PCIDSS に準拠していない企業がクラッカー(悪質なハッカー)に狙われるリスクや、高いセキュリティに挑戦しようとするハッカーが現れる可能性が考えられるため一覧化し公開することが得策ではないと考えられるからです。

まとめ

PCIDSSとは世界的に高いセキュリティ基準ですが、導入にかかる費用やハードルは比例して非常に高くなっています。ECサイトの場合には自社の予算や、規模を分析し、PCIDSSと不保持化のどちらか適切な方法を選択し、導入してください。

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