
ECサイトでするべきセキュリティ対策10選!事故事例も紹介!
ECサイトのセキュリティ対策は何をすればいい?セキュリティ対策しないとどんなリスクがあるの?と気になっていませんか。
結論、ECサイトの運営では以下のセキュリティ対策を行うのが安心です。
・強いパスワードと2段階認証を設定する
・常に最新バージョンを使う
・不正アクセスをブロックするサービスを使う
・定期的に安全チェックをする
・アクセス権を制限する
・ログ(記録)を監視する
・セキュリティの知識を学ぶ
・データのバックアップを取る
・他のサービスとの連携を確認する
またECサイトでセキュリティ対策を行わず事故が起きてしまうと、「情報漏洩により信頼の低下」や「経済的損失」、「法律違反や行政処分の対象になる」場合もあるので注意しましょう。
この記事では他にも、ECサイトのセキュリティ対策にかかる費用や実際に起きたECサイトのセキュリティ事故についてなど、詳しく紹介していきます。
是非参考にしてくださいね。
目次
ECサイトのセキュリティ対策10選
ECサイトのセキュリティ対策として以下が挙げられます。
・SSL(https://)でサイトを守る
・強いパスワードと2段階認証を設定する
・常に最新バージョンを使う
・不正アクセスをブロックするサービスを使う
・定期的に安全チェックをする
・アクセス権を制限する
・ログ(記録)を監視する
・セキュリティの知識を学ぶ
・データのバックアップを取る
・他のサービスとの連携を確認する
それぞれ詳しく解説していきます。
SSL(https://)でサイトを守る
SSLは、サイトとユーザーの間でやり取りされるデータを暗号化する仕組みのことです。
この暗号化によって、第三者がデータを盗み見たり、改ざんしたりするのを防ぎます。
また、サイトのURLを「https://」にすることで、訪問者に安心感を与え、サイトの信頼性を高めることもできるでしょう。
ECサイトをSSL化するためのステップは以下の通り。
- SSL証明書を選び取得購入する
- サーバーにSSL証明書をインストール
- リダイレクト設定を行う
- サイト全体をHTTPSに対応させる
- SSL化後の動作確認
- サーチコンソールとアナリティクスの更新
詳しい内容を次から見ていきましょう。
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SSL証明書を選ぶ
SSL証明書には、
・企業向けの「組織認証型」
・信頼性の高い「拡張認証型」
などがあります。ECサイトの規模や目的に合わせて適切な種類を選び取得、または購入しましょう。
サーバーにSSL証明書をインストール
取得した証明書をウェブサーバーにインストールします。
サーバーの種類に応じて設定方法が異なり、ApacheやNginxなどの設定ファイルを編集しなければならない場合もあります。
リダイレクト設定を行う
HTTPからHTTPSへの自動リダイレクトを設定します。
Apacheでは`.htaccess`ファイル、Nginxではサーバー設定ファイルを編集してリダイレクトルールを追加します。
サイト全体をHTTPSに対応させる
サイト内で使用しているすべてのリンクやリソース(画像やCSSファイルなど)をHTTPSに変更します。
WordPressのECサイトを使用している場合は、プラグインを利用して簡単に対応可能です。
SSL化後の動作確認
SSL化が正しく行われているかを確認します。
ブラウザで「https://」の表示と鍵アイコンをチェックし、オンラインツール(例:Qualys SSL Labs)でさらに詳細を確認しましょう。
サーチコンソールとアナリティクスの更新
Google Search Consoleに新しいHTTPSのURLを登録し、Google Analyticsのトラッキング設定もHTTPSに更新します。これにより、データ収集が正確に行えるようになります。
強いパスワードと2段階認証を設定する
不正アクセスを防ぐために、まずはパスワードの強化を行いましょう。
下記のようなパスワードを設定することでより強固なセキュリティ対策ができます。
12文字以上
・文字の種類を混在
大文字、小文字、数字、記号を組み合わせる
・推測されにくい内容
個人情報(名前、誕生日など)や単純なパターン(123456やpasswordなど)を避ける
・使い回しをしない
他のサイトで使用したパスワードは使わない
数字や記号を含む複雑なパスワードを使うだけでなく、スマホで確認コードを入力する「2段階認証」を追加することで、さらに安全性を高められます。
これにより、万が一パスワードが盗まれても、アカウントが守られる可能性が高まります。
常に最新バージョンを使う
ソフトウェアやアプリを古いまま放置すると、既知の弱点(脆弱性)を悪用されるリスクが高まります。
そのため、
・ASPカートやアプリ、プラグイン
・サーバーソフトウェア
・ライブラリ・フレームワーク
・セキュリティソフト
などの更新を定期的に行い、常に最新バージョンを使うことが重要です。アップデートを怠らないことで、攻撃のリスクを大幅に減らせます。
しかし最新バージョンへのアップデートは、案外忘れてしまうもの。
次では最新バージョンを維持するための対策を紹介します。
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自動アップデートの活用
ASPカートやサーバーソフトウェアでは、自動アップデート機能を提供していることが多いです。
この機能を有効にすることで、特別な手間をかけずに常に最新状態を保つことができます。
アップデート管理スケジュールの設定
自動アップデートが利用できない場合には、定期的なアップデートスケジュールを設定することが重要です。
例えば、毎月1回ソフトウェアのアップデート状況を確認するなど、ルーチンを決めておくことで漏れなく対策を実行できます。
事前テスト環境の構築
本番環境に直接アップデートを適用するのではなく、まずテスト環境で動作確認を行うと、アップデートが原因で予期せぬ不具合が発生した場合でも、安心です。
テストを通じて問題がないことを確認してから本番環境に適用することで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
セキュリティ情報のチェック
開発元や公式サイトで提供されるセキュリティ情報を定期的に確認することも重要です。
セキュリティ関連のニュースやアラートに注意を払い、迅速に対応するよう心がけましょう。
不正アクセスをブロックするサービスを使う
不正なトラフィックを防ぐためには、ファイアウォールやWebアプリケーションファイアウォール(WAF)の導入が効果的です。
- Webアプリケーションファイアウォール(WAF)
- DDoS防御サービス
- IP制限・Geoブロック
- AI/機械学習による不正検知
それぞれ詳しく解説していきます。
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Webアプリケーションファイアウォール(WAF)
Webアプリケーションファイアウォール(WAF)は、通常のファイアウォールに加え、アプリケーション層のトラフィックを監視し、不正なリクエストをブロックします。
これにより、悪意のある攻撃をリアルタイムで検知し、遮断することが可能です。
また、カスタマイズ可能なルールを設定することで、特定の攻撃パターンにも柔軟に対応できます。
・Imperva
高度なカスタマイズ機能とリアルタイム攻撃検知が可能なWAF。
・Cloudflare WAF
簡単に導入でき、効果的に不正リクエストを遮断します。
DDoS防御サービス
DDoS防御サービスは、大量のトラフィックを分散処理し、ECサイトが継続して稼働できるようにするサービスです。
このサービスは、トラフィックの異常を常時監視し、攻撃を自動的に遮断する機能を備えています。
さらに、負荷分散機能を提供することで、サーバーの過剰負荷を防ぎ、運営の安定性を確保します。
・Cloudflare
大量のトラフィックを分散処理し、攻撃を迅速に遮断。
・AWS Shield
AWSインフラと連携し、高度なDDoS防御を提供。
・Akamai Kona Site Defender
信頼性の高いDDoS防御を一括で実現します。
IP制限・Geoブロック
IP制限やGeoブロックは、特定のIPアドレスや地域からのアクセスを制限する機能を提供します。
この機能は、攻撃が多発する地域を事前にブロックすることで、不正アクセスを未然に防ぎます。
また、信頼できるIPアドレスだけを許可する仕組みを導入することで、より高いセキュリティを実現します。
・Cloudflare Access
IP制限や地域制限を簡単に設定可能。
・Barracuda CloudGen Firewall
信頼できるIPアドレスのみ許可する柔軟な機能を提供。
AI/機械学習による不正検知
AIや機械学習を活用した不正検知は、トラフィックデータを分析し、通常とは異なるアクセスパターンを自動的に検出する高度なセキュリティ機能です。
この技術は、新たな攻撃パターンにも迅速に対応できる柔軟性を持っており、ユーザー体験を損なわない形でセキュリティを強化します。
定期的に安全チェックをする
サイトの安全性を保つには、定期的なセキュリティ診断が欠かせません。
脆弱性スキャンツールを活用して問題をチェックし、専門家にペネトレーションテスト(侵入テスト)を依頼することで、弱点を早期に発見して対策を講じることができます。
アクセス権を制限する
サイトのデータを安全に管理するために、アクセス権限を必要最低限に制限することが重要です。
管理者アカウントは必要な人だけに付与し、不要になったアカウントは速やかに削除します。
このように管理することで、不正アクセスや操作ミスによる情報漏洩、データ破壊などのリスクを減らせます。
ログ(記録)を監視する
サイトの活動を記録したログを定期的に確認することで、不審なアクセスや動きを早期に検出できます。
ログ監視ツールを導入すると
・不正アクセスの検知
・システム障害の早期発見
・被害が起きた際の原因究明や被害範囲の特定
効率的に状況を把握でき、必要に応じて迅速に対応することが可能になります。
ログ監視ツールは、以下のものがおすすめです。
・ELKスタック(Elasticsearch、Logstash、Kibana)
・Splunk
・CloudWatch(AWS環境の場合)
セキュリティの知識を学ぶ
サイト運営者や従業員がセキュリティの知識を持つことは、人的ミスを防ぐために非常に大切です。
たとえば、フィッシングメールの見分け方や、怪しいリンクをクリックしない方法を学ぶことで、リスクを大幅に減らせます。
定期的な研修を行い、最新の情報を共有することが効果的です。
データのバックアップを取る
サイバー攻撃やシステム障害が起きても、データのバックアップがあれば復旧できます。
データをクラウドや外部ハードディスクに定期的に保存し、実際に復元できるかテストすることで、緊急時にも安心して対応できます。
他のサービスとの連携を確認する
ECサイトが外部サービスを利用している場合、そのサービスが安全であるかを確認する必要があります。
特に、決済サービスを選ぶ際には、PayPalやStripeのような信頼性の高いプロバイダーを選ぶと良いでしょう。
また、契約先のセキュリティ状況を定期的に見直すことも重要です。
ECサイトのセキュリティ対策をしないとどうなる?
ECサイトのセキュリティ対策をしないと下記のような事態に陥る可能性があります。
・顧客情報が漏洩し信頼を失う可能性
・大きな経済的損失につながる可能性
・法律違反や行政処分の対象になる可能性
・サイバー犯罪の踏み台にされる可能性
・サイトのSEO順位が低下する
・従業員の生産性低下につながる
・長期的に競争力を失う可能性
それぞれ詳しく解説していきます。
顧客情報が漏洩し信頼を失う可能性
ECサイトで顧客情報が漏洩すると、企業の信頼性が一瞬で崩壊します。
というのも顧客は、自分の名前や住所、クレジットカード情報が悪用されることに強い不安を抱くから。
この不安は、「再びそのサイトで商品を購入するのが怖い」という心理につながり、結果的にリピーターの減少を引き起こします。
また、漏洩が報道されると、情報は瞬く間にSNSやメディアを通じて拡散されてしまい、潜在的な新規顧客にも悪い評判が流れてしまいます。
信頼の回復には、具体的なセキュリティ対策や透明性の高い情報公開が必要ですが、それには膨大な時間と費用がかかり、失われたブランド価値を取り戻すのは簡単ではありません。
大きな経済的損失につながる可能性
セキュリティ事故が発生した場合、企業は多大な経済的損失を被ることになってしまいます。
具体的には、セキュリティ事故が起きてしまうと以下のような費用を支払う必要があります。
・事故対応のためのシステム復旧
・第三者機関の監査費用
・法律に基づく罰金
これらの直接的なコストに加え、サイト停止による売上機会の喪失や、長期的な売上減少といった間接的な損失も避けられません。
特に中小企業にとって、セキュリティ事故が発生してしまうと事業存続の危機になってしまうでしょう。
法律違反や行政処分の対象になる可能性
日本では「個人情報保護法」や「不正アクセス禁止法」などの法律が定められており、情報漏洩が発生すると、これらに違反する可能性があります。
違反が認定されると、行政指導や罰金、さらには事業停止命令といった厳しい処分が科されることがあります。
また、これらの法律違反は公表されるため、顧客だけでなく取引先や投資家からの信頼も失うリスクが高まります。
サイバー犯罪の踏み台にされる可能性
セキュリティが脆弱なECサイトは、攻撃者にとって他のターゲットを攻撃するための踏み台として利用される危険性があります。
たとえば、サイトがボットネットの一部として利用され、大規模なDDoS攻撃に加担してしまうことがあります。
これにより、自社だけでなく、全く関係のない第三者にも被害を拡大させ、結果として社会的責任が問われる事態に陥ります。
サイトのSEO順位が低下する
Googleをはじめとする検索エンジンは、不正アクセスを受けたサイトやマルウェアを含むサイトを安全性の観点から評価し、検索順位を大幅に下げます。
さらに、検索結果に「このサイトは安全ではありません」という警告が表示されることもあり、これにより訪問者数が大幅に減少します。
オーガニックトラフィックが減ると、新規顧客の獲得が困難になるだけでなく、既存のマーケティング投資の効率も低下します。
従業員の生産性低下につながる
セキュリティ事故が発生すると、その対応に多くのリソースが割かれるため、従業員の通常業務が停滞します。
たとえば、復旧作業や顧客対応、調査報告書の作成などが優先され、本来の業務効率が著しく低下します。
このような状況が長引けば、従業員のストレスやモチベーション低下を招き、最終的には離職率の増加につながる可能性もあります。
事故対応が日常業務に与える影響は、短期的なものにとどまらず、企業全体の生産性に深刻なダメージを与えます。
長期的に競争力を失う可能性
顧客に安全なサービスを提供できない企業は、市場での競争力を失ってしまいます。
特に、楽天やAmazonなどの大手ECサイトが高度なセキュリティ体制を整えている中で、わざわざセキュリティ対策が不十分なサイトを利用する人はいないでしょう。
さらに、競合他社がセキュリティをアピールポイントとして活用する中、自社は価格競争に巻き込まれやすくなり、ブランド価値の低下を招きます。
このような状況が長期化すれば、最終的に市場から撤退を余儀なくされるリスクも高まってしまいます。
ECサイトのセキュリティ事故が起きてしまう理由
ECサイトのセキュリティ事故が起きてしまう理由は以下の通り。
・セキュリティ対策の意識が低いから
・オープンソース型はセキュリティ面において脆弱
・運用管理が甘い
・内部からの情報漏洩
それぞれ詳しく見ていきましょう。
セキュリティ対策の意識が低いから
ECサイト運営者の中には、セキュリティ対策を優先事項として捉えていない企業も少なからずあります。
特に小規模な事業者では、売上拡大や顧客獲得を優先し、セキュリティへの投資を「後回し」にする傾向が強いです。
その結果、十分な対策が取られないままサイトが運営され、攻撃者にとって格好のターゲットとなってしまうのです。
また、セキュリティを「目に見えないコスト」と捉える風潮も、意識の低さに拍車をかけているでしょう。
オープンソース型はセキュリティ面において脆弱
ECサイト構築といっても様々な方法があります。
例えば、オープンソース型のECサイトを構築しようとした場合、インターネット上に公開されているソースコードからサイトを構築します。
オープンソース型のECサイトはコストを掛けることなく、比較的自由なサイトを構築することができますが、ベンターからのサポートが一切ないので、セキュリティ対策においては極めて脆弱です。加えて、サイトを構築しているコードは公開されているものになります。
そのため、オープンソース型のECサイトは他のECサイトよりもセキュリティマネジメントに力を入れなければなりません。
ASP型は基本的にリスクが低い
また、オープンソース型でなく、Shopifyなどのサービスを利用し、ショッピングカートASP型のECサイトを構築する場合は、セキュリティ面においてあまり心配する必要はないでしょう。
ショッピングカートASP型のECサイトは、ECプラットホームを利用するため、セキュリティに関する管理が徹底されていてサイバー攻撃や不正アクセスを受ける確率が極めて低いです。
また、プランによっては保証を付けることが可能で、リスクを分散することもできます。
運用管理が甘い
セキュリティ対策が施されていても、それを適切に運用しなければ意味がありません。
例えば・・・
・アクセス権限の管理が不十分で、必要のない従業員や外部パートナーが重要なデータにアクセスできる場合、情報漏洩のリスクが増大
・ログ監視やバックアップ運用が怠られると、問題が発生しても迅速に対応できず、被害が拡大する可能性がある
といったように運用管理の甘さは、セキュリティ事故の根本原因となる可能性があります。
内部からの情報漏洩
ECサイトのセキュリティ事故は、外部からの攻撃だけでなく、内部からの情報漏洩によっても発生します。
たとえば、
・誤操作でデータを外部に流出させてしまう
・セキュリティ教育が不十分な従業員が、フィッシングメールに騙されてログイン情報を漏らす
といった人的ミスからセキュリティ事故が起こる可能性も0ではありません。
そのため企業は技術的なセキュリティ対策だけでなく、内部セキュリティの意識向上と管理体制の強化を行う必要があるでしょう。
ECサイトのセキュリティ対策は義務化された?
ECサイトのセキュリティ対策は義務化されたのでしょうか?
結論から言うと、現在の時点で2025年3月末までに「EMV3-Dセキュア(S)」の導入が義務化されました。
詳しい内容を次から見ていきましょう。
2025年3月末までに「EMV3-Dセキュア(S)」の導入が義務化された
経済産業省は、クレジットカード情報の不正利用が急増している現状を深刻に受け止め、2025年3月末までに全てのEC加盟店が「EMV3-Dセキュア(S)」を導入することを義務化しました。
この取り組みは、単に不正被害を防ぐだけでなく、消費者が安心してオンラインで買い物を楽しめる、安全性と信頼性の高いEC市場を構築することを目指しています。
一定以上の不正被害の受けたことがあるEC事業者は即時着手
経済産業省は、下記のような不正被害が一定以上発生しているEC加盟店に対し、速やかなセキュリティ対策の実施を義務付けています。
過去3か月間、毎月50万円を超える不正被害が確認されている場合。
・対応措置
「EMV 3-Dセキュア」の導入を含む強力なセキュリティ対策を即座に開始すること。
不正被害が頻繁に起きる店舗は、セキュリティが脆弱である可能性が高く、適切な対策を怠れば、被害額が短期間で急増するリスクがあります。
また、高リスク店舗が効果的なセキュリティ対策を講じることで、他の店舗への被害波及を抑制するという全体的な予防効果も期待されています。
「EMV3-Dセキュア(S)」の導入方法は?
「EMV 3-Dセキュア(S)」を導入するためには、一般的に以下の手順を踏むことが多いです。(サイトの規模や使用している決済システムによって異なる場合もあります。)
- 決済代行会社への問い合わせと要件確認
- システムの現状確認
- 実装準備と計画策定
- システム開発と統合
- テスト実施
- 運用開始とモニタリング
導入プロセスは決済代行会社との連携が鍵となるため、早めに計画を立てて取り組むことが成功のポイントです。
詳しい内容は次から順を追って見ていきましょう。
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1. 決済代行会社への問い合わせと要件確認
現在利用している決済代行会社に問い合わせ、EMV 3-Dセキュア導入の要件や必要なステップを確認します。
既に対応している場合はスムーズに進むことが多いです。
2. システムの現状確認
自社のECサイトや決済システムがEMV 3-Dセキュアに対応しているかを確認します。
必要であれば、システム更新やセキュリティ強化の計画を立てます。
3. 実装準備と計画策定
導入に向けたスケジュールやコストを計画し、担当者を決定します。
内部リソースが足りない場合は外部支援を検討します。
4. システム開発と統合
決済代行会社の提供するAPIやプラグインを使い、サイトの認証機能を実装します。
専門知識が必要な場合は外部開発会社に問い合わせてみましょう。
5. テスト実施
認証プロセスや不正検出機能が正しく動作するかをテストします。
ユーザー体験に問題がないかもしっかり確認しましょう。
6. 運用開始とモニタリング
テスト完了後に運用を開始し、定期的にシステムのアップデートやモニタリングを行います。
不正取引の兆候を早期に検出する仕組みを整えます。
対応しない場合のペナルティは?
2025年3月までにEMV 3-Dセキュア(S)に対応しないと「行政指導や業務停止命令」に合う可能性があります。
具体的には、適切なセキュリティ対策を講じるまで、「事業運営に制限をかけられる」、「一定期間ECサイトの運営ができなくなる」といったリスクがあることを覚えておきましょう。
また行政からのペナルティだけではなく、以下のようなリスクもあるため、できるだけ早めに対応しておくのが良いでしょう。
- クレジットカード会社との契約解除や取引停止
- 損害額が運営者の負担になる可能性も
ECサイトのセキュリティ対策診断ツール・サービス3選
ここではECサイトのセキュリティ対策診断ツール・サービスを3つ紹介していきます。
Securify
Securifyは、日本製のセキュリティプラットフォームであり、攻撃面管理(ASM)と脆弱性診断を容易に実施できるツールです。
公開されている資産の特定から脆弱性の検出までを一貫して行い、直感的な操作性と高精度な診断を両立しています。
特に、日本国内の企業や組織のニーズに適した機能が豊富で、ECサイトのセキュリティ強化に大きく寄与します。
SHIFT
SHIFTは、ソフトウェアテストや品質保証、セキュリティ診断などを提供する日本の企業です。特に、脆弱性診断サービスにおいては、以下の特徴があります。
まず、ホワイトハッカーの診断プロセスを徹底的に標準化し、手動検査でもブレのない高品質な脆弱性診断を提供しています。これにより、属人的な要素を排除し、安定した診断品質を実現しています。
さらに、診断後は最短1営業日で報告書を提出し、迅速な対応が可能です。これは、診断結果を待つ間のリスクを最小限に抑えるための取り組みです。
また、SHIFTでは、診断基準として国際標準のASVSやOWASP TOP10などに準拠しており、第三者検証としても最適です。これにより、国際的なセキュリティ基準に沿った診断を提供しています。
OWASP ZAP
OWASP ZAP(Zed Attack Proxy)は、オープンソースのWebアプリケーションセキュリティテストツールで、無料で利用できます。
クロスサイトスクリプティング(XSS)やSQLインジェクションなど、一般的な脆弱性を検出することができます。
設定が簡単で、セキュリティ初心者にも適しており、ECサイトの脆弱性チェックに広く活用されています。
ECサイトのセキュリティ対策にかかる費用
ECサイトのセキュリティ対策にかかる費用は、選択する対策の内容や規模、依頼先のサービスによって大きく異なります。
ここでは主なセキュリティ対策とその費用の目安を見ていきましょう。
1. 脆弱性診断
数十万円から数百万円程度が相場。
ECサイトの脆弱性を専門家が診断するサービスです。不正アクセスや情報漏洩のリスクを事前に発見し、対策を講じることができます。
2. WAF(Web Application Firewall)の導入
初期費用+月額費用が発生し、月額費用は数万円から十数万円程度。
Webアプリケーションへの攻撃を防ぐファイアウォールの導入です。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどの攻撃を防ぐことができます。
3. セキュリティソフトの導入
年間数万円から数十万円程度。
ウイルス対策や不正アクセス防止のためのソフトウェアを導入します。最新の脅威に対応した更新プログラムが利用可能です。
4. SSL/TLS証明書の取得
年間数千円から数万円程度。
通信を暗号化するための証明書を取得し、ユーザーの個人情報を保護します。HTTPS化により、サイトの信頼性も向上します。
5. 多要素認証の導入
初期費用+月額費用が発生し、月額費用は数千円から数万円程度。
ログイン時に複数の認証要素を利用することで、アカウント乗っ取りを防ぎます。例として、パスワード+ワンタイムパスコードの組み合わせがあります。
実際にあったECサイトのセキュリティ事故3選
ここでは実際に合ったECサイトのセキュリティ事故を3つ紹介します。
ベイシアネットショッピングでの情報漏洩
2021年11月、スーパーマーケットチェーン「ベイシア」の公式オンラインショップがサイバー攻撃を受け、クレジットカード情報3,101件と、約25万件の個人情報が流出した可能性が報告されました。
サーバーへの不正アクセスが行われ、システムの脆弱性を突かれたことが原因で、流出した情報には、顧客の名前、住所、電話番号、メールアドレスが含まれていたそうです。
これにより、顧客が知らない間にクレジットカードを不正利用される可能性が指摘されました。
それに対してベイシアは全ての被害者に対して個別に通知を行い、再発防止策を講じると発表しました。
メタップスペイメントでのクレジット不正利用
2022年3月、決済代行サービスを提供する「メタップスペイメント」のシステムが侵害され、最大46万件のクレジットカード情報が流出したと報告されました。
システムの脆弱性を突かれ、不正アクセスが行われ、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどの情報が流出した可能性が示唆されました。
これにより流出した情報を用いて複数のカードが不正利用される被害が発生しました。またサービスを利用していた複数のECサイトにも影響が波及してしまったそうです。
ライトオン公式オンラインショップの情報漏えい
2021年11月、衣料品販売チェーン「ライトオン」の公式オンラインショップで、約25万件の個人情報が流出しました。
原因は、外部からの攻撃によるシステム侵害が要因でした。
これにより顧客情報が不正な第三者に利用される可能性が懸念され、ライトオンは速やかに公式サイトで謝罪と被害の説明を行いました。
ECサイトのセキュリティ対策まとめ
ECサイト運営では、セキュリティ対策が欠かせません。適切な対策を行うことで、顧客情報の保護やサイトの信頼性向上につながります。以下は、安心して運営を続けるために必要な主要な対策です。
SSL(https://)でデータを暗号化し、サイトを保護
強力なパスワードと2段階認証の導入
ソフトウェアやプラグインの最新バージョン維持
ファイアウォールやWAF(Webアプリケーションファイアウォール)の活用
定期的な安全チェックと脆弱性診断
アクセス権限の制限と管理
サイトのログを監視して不審な動きを検知
従業員向けセキュリティ教育の実施
データの定期バックアップ
外部サービスとの安全な連携の確認
対策を実施しない場合、以下のようなリスクが伴うので注意が必要です。
情報漏洩による顧客からの信頼喪失
経済的損失や不正利用による被害
法令違反や行政処分の対象となる可能性
セキュリティ対策をしっかり行い、安全な運営を目指しましょう。